浜松医科大学循環器内科

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佐野 誠

佐野 誠

留学先
Lübeck University, Germany

留学期間
2018年9月~2019年8月

留学した理由

 10年余、市中病院、大学病院で経験を積むことで、自分の初期目標であった専門医や学位を取得することができました。その中で次に芽生えてきたのは、海外の臨床現場を自分で体感し、そして、トップジャーナルに名を連ねる先生方の下で臨床研究に取り組んでみたいという思いでした。自分にとっては「挑戦」でありましたが、だからこそ次の目標としてふさわしいと考え、海外留学を希望しました。

留学先の決め方

 自分一人の力で留学先を探し、アプライするのは、中々難しいと思います。留学経験のある医局の先生方に相談し、臨床に関連した研究ができる環境として、いくつかの候補をご提案頂きました。前川教授をはじめ、諸先生方には、幅広い人脈をもとに、私の留学先を探し、親身に相談に乗ってくださりました。その中で良いお返事を頂けたリューベック大学へ、欧州不整脈学会の際に見学に行き、正式にアプライすることに決めました。

留学先について

 シュレスヴィッヒ-ホルシュタイン大学病院リューベックキャンパス 心臓センター・不整脈部門(EPチーム)へ臨床留学しました。ドイツ北部で不整脈治療を牽引しているTilz教授のもと、カテーテルアブレーションを中心に、勉強してきました。

現地での仕事/研究について

 不整脈部門のRoland Richard Tilz教授は、まだ若いですが、熱意と行動力がすさまじく、非常に多くの業績を残されてきました。また、前任地のハンブルクの病院で、多くの日本人フェローと仕事をしてきた経緯もあり、私を温かく受け入れてくださいました。EPチームは、中国やトルコ、ジョージアなど他の国からもフェローが来ており、各国の医療事情や治療戦略などを議論できたことも興味深い経験でした。
 私の主な業務は、EPフェローとして年間800例以上のアブレーションを行う現場で、心内心電図の解析、3Dマッピングシステムやスティミュレーターの操作、ならびに術者のサポートを行いました。術者の考え方やストラテジーに応じたサポートをするだけでなく、カテ操作や手技のコツなどを議論して、実践的な技術や知識の引き出しを増やすことができたと感じています。その他には、データベースの作成と解析を担い、私が主導する臨床研究3件と、共同研究数件に携わるチャンスを得ることができました。

現地での生活について

 リューベック(Lübeck)は、ハンブルクから北へ50㎞ほど離れた人口20万人の古都で、旧市街が世界遺産に登録されている非常に美しく、穏やかな街です。キャンパスの周囲は緑に囲まれ、特に天気の良い日は、自然に癒されるのどかな土地柄で、自分には合っていたように感じます。休暇には、世界遺産である荘厳な教会巡りやクリスマスマーケット、ライン川周辺でのワインの堪能など、ドイツらしさを満喫することもできました。

留学を終えて思う事

 海外での生活と、実地診療と臨床研究の経験は、自分の人生や今後の仕事において大きな影響を与えうるものだと感じています。生活においては、文化や考え方の違いを感じ、自己と寛容の精神が身についたと思います。また、医療制度や考え方の違い、デバイスラグなど、臨床留学で現場を経験できたことは、日本の医療の強みや課題を改めて見直すことにも繋がると思っております。

最後に

 前川教授には、奨学金の応募や、英文の推薦状作成の際にもお力添えを頂きました。医局の先生方のご尽力があって、留学先の選定や推薦状の応募をなしえたと感じております。また、留学奨学金として、三門会の神川・金子基金よりご支援も頂きました。この場を借りて、心より感謝申し上げます。

リューベックのシンボル;ホルステン門

大学病院のエントランス

カテラボで

Tilz教授と同僚と一緒に

EPチームカンファレンス

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